会社だって青色申告

青空

会社にも青色申告という制度があります

札幌市東区の税理士が執筆する「簡易顧問Blog」。
今回のテーマは、「会社だって青色申告」です。

青色申告といえば、個人の確定申告というイメージが強いですが、会社(法人税)にも青色申告という制度があります。
会社の場合は、青色申告を選択することが個人事業よりも重要となります。

今回は、会社の青色申告制度について解説していきます。

白色申告と青色申告

会社(法人税)も個人事業(所得税)と同様に、白色申告と青色申告があります。
青色申告の承認申請書を提出しない場合は、自動的に白色申告となります。

白色申告

個人事業であれば、「帳簿は簡易的なものでよい」というのが白色申告の場合のひとつのメリットになり得るのかもしれません。
しかし、会社の場合は個人事業とは異なります。

ネット上には、「会社でも白色申告の場合は簡易的な帳簿でよい」という情報がありますが、どうでしょうか。
白色申告の場合でも、法人税の申告書の添付書類として貸借対照表が必要になります。
簡易的な帳簿では貸借対照表の作成ができないと思われますので、複式簿記によって帳簿を作成する必要があるのです。

よって、会社の場合は、白色申告にするメリットは無いと考えてよいです。
加えて、青色申告の特典が受けられずに損をします。

青色申告

繰り返しになりますが、青色申告の各種特典を受けられないことは、会社にとってかなり損です。
そして、青色申告をすることによるデメリットは無いといっていいでしょう。

そのため、青色申告は必ず申請したほうがよいものになります。

青色申告の特典

青色申告の特典として、主に次のものがあります。

30万円未満の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

通常、10万円以上の固定資産を購入した場合は、数年にわたって少しずつ経費(損金)にするということになるのですが、青色申告の特典として、30万円未満の固定資産は即時経費(損金)になります。
ただし、1事業年度につき300万円までという上限があります。

なお、この特例の適用を受けるには青色申告をしている以外に、資本金が1億円以下などの条件があります。

欠損金の繰越控除

青色申告書を提出した事業年度に生じた赤字額を、翌年以後の黒字額と相殺できる制度です。
平成30年4月1日以後に開始する事業年度において出してしまった赤字の額は、10年間繰り越せます。

ある年度に100万円の赤字が出て、翌年30万円の黒字だった場合、相殺して利益をゼロとすることができます。そして、残りの70万円の赤字は、繰り越すことができます。

このように、10年間のうちに合計で100万円分の利益と相殺できるのです。

赤字と黒字を相殺できるということは、法人税を課す利益(所得)が減るということですから、この制度はとても重要です。

特に設立初年度は、設立に際してかかる経費が大きく、売上があがるまでに時間を要するなどの要因で赤字決算となることが多いです。
欠損金の繰越控除を受けられるように、必ず初年度から青色申告をしたいものです。

なお、資本金が1億円を超える法人については、相殺できる金額に制限があります。

繰戻しによる法人税の還付

前年が黒字で納税をしていた場合において、当年が赤字だったときに、当年の赤字を前年に繰戻して、納付済みの前年の税金を還付してもらうという制度です。
この制度を利用した赤字の金額は、先程の欠損金の繰越控除の金額には入れられません。

なお、資本金が1億円を超える法人については、適用が停止されています(新型コロナ税特法の特例により、適用が認められる場合あり)。

個人の青色申告との最大の違い

法人税の青色申告の特典には、所得税の青色申告の特典である特別控除(最大65万円)がありません。

しかし、この特別控除がないとしても、必ず青色申告はすべきです。

青色申告の承認申請書の提出

会社を設立してすぐに税理士と顧問契約を結ぶなどの場合は、青色申告の承認申請書を税理士に作成してもらいましょう。

そうでない場合は、次の解説を参考に、自社で作成・提出しましよう。

申請書用紙の入手と記載方法

青色申告の承認申請書は、税務署か、国税庁のWebサイトから入手できます。
URLは、こちらです。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/010705/pdf/056-1.pdf

記載方法は、特別難しい部分はありません。
よくわからない部分があるとすれば、用紙の下部にある「2.参考事項」でしょうか。

まず、(1)帳簿組織の状況という欄について説明します。

この欄には、会社で記帳する帳簿名などを記載する部分があります。
最低限、下図のように、現金出納帳、仕訳帳、総勘定元帳、固定資産税を記入しておけばよいでしょう。

次に、(2)特別な記帳方法の採用の有無の欄について説明します。

帳簿は自社でつける場合と、税理事務所に依頼する場合がありますが、いずれも会計ソフトを利用しますので、電子計算機利用のほうに丸印をつけましょう。

最後に、(3)税理士が関与している場合におけるその関与度合の欄について説明します。

この欄は、この申請書を提出するタイミングですでに税理士事務所に仕事を依頼している場合は、「総勘定元帳の記帳からの一切の事務」と記載しておけばOKです。

まだ税理士に依頼していない場合は、空欄のままで問題ありません。

青色申請

PCで閲覧の場合、クリックで拡大されます。

提出期限

青色申告の承認申請書の提出期限は、新しく会社を設立した場合は、設立日から3か月以内に提出する必要があります。

例えば、○1年4月1日に設立(決算日:○2年3月31日)の場合は、○1年6月30日までに提出です。

ただし、設立日から3か月経過した日よりも事業年度終了日のほうが早い場合は、事業年度終了日の前日が提出期限となります。

例えば、○1年2月1日に設立(決算日:○1年3月31日)の場合は、○1年3月31日までに提出です。

期限を過ぎてしまうと、その年は青色申告書を提出できません。

その場合、青色申告をしようとする年度が開始する日の前日まで、つまり、前年度の末日までに青色申告の承認申請書を提出する必要があります。

いずれにしても、申請書は期限までに提出すればいいというのではなく、法人設立届出書と一緒に提出してしまうことをオススメします。

提出先

青色申告の承認申請書の提出先は、納税地の所轄税務署長です。
納税地は、通常は会社本店の所在地です。

国税庁のWebサイトで、自社の納税地の所轄税務署がどこかを調べることができます。
URLは、こちらです。
https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm

取りやめの届出と取消

青色申告の承認申請書を提出した場合は、承認しない旨の処分がされない限りは、特に承認の書面通知などはなく、承認されたものとみなされます。

そして、青色申告の取りやめの届出書を提出しない限りは、効力が続きます。

ただし、2事業年度連続して期限内に申告書の提出をしない場合や、悪質な脱税をした場合などは、承認が取り消されます。

まとめ

会社だって青色申告

  • 会社(法人)は、青色申告が必須。
  • 青色申告の特典を受けられなければ、かなりの損をする。
  • 提出期限が決まっているが、期限にかかわらず、すぐに提出する。
  • 青色申告の承認に有効期限はないが、2事業年度連続して期限内に申告書の提出をしない場合などは取り消されることがあるので注意!